利根川にて2018年02月01日

★ 或る日の利根川の”物語” 



『わあ!!利根川だ!!......』
『利根川はやっぱり広いなあ!!.....』
『行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたか たはかつ消えかつ結びて久しくとどまることなし』か......
『さすがは、利根川だ.....』
『このゆったりとした流れは渡良瀬では味わうことができない利根川ならでは の光景だね.....』
  そう言われてみると確かに そうじゃのう......



『ところで、おっちゃん!!....』
『おっちゃんは、今日もこの道を歩いて行くのかい?.....』
  おお、そうじゃよ.....
  いつもの通り 長靴履いて、あっちを見たりこっちを見たりしながら
   トボトボとトボトボとな......
  何か問題でもあるのかい?.....
『別に問題はないけど、毎月毎月よくやるなと思ってさ.....』
  ま、のんびり歩いて行くから心配はないわさ.....



『あれっ?......』
『川の上空を飛んで行く、あの大きな鳥は誰だろう?.....』
  大きな鳥?.....
  おお、あれは、彼の有名なオスプレイ(Osprey)じゃがな....
  オスプレイ?.....
  そうじゃよ、ミサゴじゃよ......
『そうか、あれが世間を騒がせているオスプレイか.....』
『墜落しなければいいけどなあ.....』
『もっとも、アメリカ様が作ったぼっこれオスプレイと本家本元のオスプレイ とでは根本的に出来が違うから落ちる心配はないと思うけどね......』



『おっちゃん!!.....』
『向こう岸にも、何か大きな鳥が止まってるよ......』
  なに?向こう岸じゃと?.......
  おお、あれか......
  ちょいと遠いが、あれは ノスリじゃよ.....
『ノスリか.....』
『あの鳥って、いつもあの木にじっと身動きもせずに止まっているけど、何考 えているのかしらね.....』
  さあな......
  いくらわしでもそこまではわからんよのう.....



『ありゃ?....』
『こっちの岸辺では、水風呂に浸かってるやつがいるぜ.....』
『あいつ、この寒いなかを気でも狂ったか!!?......』



『おっちゃん、見て見て!!.....』
『あっちの方では、木登りしてるやつがいるぞ......』
『随分と派手な格好をしてるけど、あれが今流行の”木登りファッション”てや つかなあ?......』
  ”木登りファッション”?......
  聞いたことのない言葉じゃのう......
『いいの、いいの、年寄りにはわからなくもいいの.....』
  何じゃと?.....
『しかし、あいつ、器用に登るもんだね〜....』
『おらには、とても真似できねえよ.....』
  そりゃそうじゃろうよ.....
  お前さん達とは、足指のつくりが根本的に違うからのう.......



『それはそうと、川の真ん中を、一人のんびりと浮かんでいるあの御仁はいっ たい誰なの?.....』
『渡良瀬では見たことのないやつだけどな......』
  何?.....
  ”渡良瀬では見たことのないやつ”じゃと?......
  おお、あれはカンムリさんじゃないか!!...
『”カムリ”さん?....』
  ”カムリ”じゃない!!”カ・ン・ム・リ”!!.....
  ”カムリ”じゃ、トヨタの車になっちまうがな....
  ”カンムリカイツブリ”じゃよ....



『あれっ......』
『岸辺に一人寂しそうに縮こまっているは、もしかして.....』
『そうだよ!!....』
『あれは、間違いなくアオサギの爺様だよ!!.....』
『何だか、とても寒そう.....』
『熱でもあるのだろうか......』
『もしかして、インフルエンザ?......』
『爺様のやつ、あの歳でインフルにかかったら命とりになってしまうぜ.....』
『こんな所にいないで、早くうちに帰って寝ればいいのに.......』



『ま、こうやって眺めてみると利根川には実に多士済々の面々が揃っている  けど、それはそれで、渡良瀬とは また ひと味違ったパフォーマンスの面白 さや風情があるということだよね....』


『さあて、一風呂浴びたので、この辺でおらっちもそろそろ退散することにし ようか......』
  何じゃ、お前さん、まだ風呂に入っていたのか!!?.....
『うん、今日は特別いい湯だったよ!!.....』
『それにしても、今日はちょいと長湯をし過ぎてしまったようだ.....』
『何だか足がふらふらするよ.....』
『そんじゃ、おっちゃん、道中気を付けてね!!......』
『バイ、バ〜イ!!.....』
『お〜れは河原の枯れススキ〜、お〜なじお前も枯れススキ〜....』

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