TRAIL (NO.73.55)2024年07月10日

★ 今日の ”風景画”


★ 今日の”鳥さん”

      * セッカ 三態





※ 相変わらず繁殖活動に余念のないセッカであるが、セッカの繁殖期間は長く、9月の中旬まで続く。その間、繁殖に適した環境が上手く維持されれば、1シーズンに合計2〜3回の繁殖活動を繰り返すと云われている。
しかし、セッカの巣は地面から比較的低位置の草むらに造られるので、イタチやヘビなどの小動物に狙われ易い。このため、ヒナたちの巣立ち成功率は非常に低い。加えて、私が例年観察している渡良瀬のくさ原は国交省によって不定期に草の刈り入れが行われるので、繁殖期間中に突然繁殖活動が途中で途絶えてしまうこともしばしばである。従って、当地での繁殖成功率は他の繁殖場所に比べてかなり低くなっていることが推測される。
幸いにして、今年は繁殖期間中の草刈りがまだ実施されていないので繁殖活動が順調に継続されているが、9月までこのままの環境が続くとは考えられない。従って、当所における本年度のセッカの繁殖活動に終止符が打たれるのも時間の問題かと思われる。それまでに、一羽でも多く当地からヒナを巣立ちさせたいものである。
    

      *


<カワラヒワ>
※ 胸から腹にかけての縦斑はこの個体が幼鳥であることを表している。
完全植物食の本種はキク科、イネ科、タデ科などの草本類の種子が主食だ。
この若鳥も、かつては親から草本類の種子をもらって成長してきた個体であろう。今日は、熟した植物の種子を目ざとく探し当て盛んに種子を啄んでいた。

<イカル>
※ 葉の生い茂った河畔林の一角で、いつもの美しい声で囀っていた。
最近ガビチョウがイカルに似た声でさえずることが多いので、この類の声が河畔林から聞こえてきたら一瞬聞き耳を立ててから同定することが多くなってきた。ガビチョウが河畔林に定住するようになるまでは、こんなことはなかったのであるが、全く困ったものである。

       * バン 五題







※ 孵化して間もないヒナたちである。巣の近くで、親が餌を運んでくるのを必死に待っている。
ここのところ、あちこちの調節池でオオバンやバン、カイツブリが子育てをしている様子を観察することができる。
近年、バンの個体数は減少傾向にあるにもかかわらず、狩猟鳥に指定されてきたが、2022年に指定が解除され保全の方向に動き出してきたことは一定の評価を与えることはできる。しかし、狩猟者の人数が激減している昨今、バンの個体数の減少の原因が狩猟によるものとは考えにくく、それより生息環境の減少ないしは劣化の方が遥かに深刻な問題になっているように思う。
今後、バンの生息環境をどれだけ確保保全できるかがバンの個体数の減少を食い止める鍵になるだろう。

★ 今日の”お花さん”

       * ”カンゾウ” 二題

<ノカンゾウ>

<ヤブカンゾウ>
※ ノカンゾウは花弁(花被片)が6枚の一重咲き、それに対してヤブカンゾウは八重咲きである。また、ノカンゾウは染色体が2倍体なので種子ができるが、ヤブカンゾウは染色体が3倍体なので結実しない。
もともと、植物で八重咲きの個体は、突然変異で雄しべや雌しべの多くが花弁に変化してしまっているので、正常な受精ができない。

           * 

<コマツナギ>

★ 今日のトンボさん

      * マユタテアカネ 二題

(♂)
(♀)
           *

<ミヤマアカネ>
※ マユタテアカネの♀は羽の先に黒い斑紋があるタイプと斑紋がないタイプの二種類がある。斑紋があるタイプはミヤマアカネの♀と似ているので同定には気をつける必要がある。

<チョウトンボ>

<ハグロトンボ>

★ 今日の ”ちょうちょうさん”

<ジャノメチョウ(♀)>
※ ジャノメチョウの仲間には色々な種類がいるが、本種が本家本元のジャノメチョウである。♀の方が翅の色が淡くかつ大型である。

<コミスジ>

TRAIL (NO.73.56)2024年07月16日

★ 今日の ”風景画”


★ 今日の”鳥さん”

      * セッカ 六題




           * 





※ 前回に引き続き今日もセッカのご登場ということになってしまったが、私が近時歩いている散策路の周辺はこの時季セッカが多いので仕方がないのである。歩きながらすぐ近くにセッカの姿が目に入ってくれば、やはりカメラを向けないわけにはいかなくなる。(笑)
この周辺でのセッカの繁殖行動は相変わらず活発である。
これに対して、同じエリアのヨシ原で繁殖活動を展開してきたオオヨシキリは、もう繁殖期のピークが過ぎたのだろうか、あんなにも賑やかに囀っていた鳴き声が今日はほとんど聞こえなかった。
オオヨシキリが繁殖を終え、成鳥が渡良瀬を去る時季は意外と早いのである。
さて、話をセッカに戻そう。
今日は珍しいことにセッカが路上を歩いている場面をカメラに収めることができた。普通、セッカが路上を歩く姿はなかなか見られるものではない。
たいていの場合、カメラに収められた画像の姿は低い草木に止まっている場面がほとんどである。それが、今日のセッカはどうしたことか私が歩いている小径の前方を私と歩を合わせるかの動きで歩いていたのである。
私が前に進むとセッカも前に進み、私が止まるとセッカも止まる。また、私が歩を進めるとセッカも早足で前に進む。私が意地悪して、早足で歩くとセッカは一時的にパッと飛んでまた路上に降りて歩き出す。その様子は、まるで私を誘っているかのような動きであった。
私は、かつてコチドリやコジュケイの偽傷行動に騙されたことがあったが、今日のセッカの行動はまさにコチドリやコジュケイがとった偽傷行動によく似ていた。偽傷行動とは親鳥が自分のヒナを天敵から守るために、親鳥が怪我をしたふりをしてヒナから自分に注意を向けさせヒナを天敵から遠ざけるための親の捨て身の行動であるが、これまでセッカが偽傷行動をとるという話は聞いたことがない。
しかし、もし、今日私が歩いたすぐそばに巣立ち雛がいたとすれば、危険を察知した親鳥は何とかして天敵から雛たちを守ろうとしたはずである。そう考えると、今日のセッカの行動は、”偽傷”姿は見られなかったものの、ヒナたちを私という天敵から守るためにとった母親の一種の偽傷行動と同等の行動とみなしてもよいように思えたが、私の考え過ぎだろうか.........

       * ”幼鳥” 二題

<モズ>

<コジュケイ>
※ 日に日に生長している幼鳥たちである。

          * 

<カワウ+ダイサギ>

★ 今日の”お花さん”

<クズ>
※ 秋の七草の一つであるクズの花が、梅雨も明け切らないこの時季にもうあちこちで見られるようになってきた。

<トチ(果実)>
※ 外側の果皮の中には、日本産植物の中で最大の種子が入っている。

★ 今日のトンボさん

<ウスバキトンボ>

<コオニヤンマ>

<マユタテアカネ(♀)>

<ハグロトンボ>

★ 今日の ”ちょうちょうさん”

     * アオスジアゲハ 五態






※ クスノキを食樹とする本種の姿はいつ見ても爽やかで美しい。

      * アカタテハ 二態



     * ”シジミチョウ” 三題 

<ヤマトシジミ>

<ルリシジミ>

<ベニシジミ>

     * ”セセリチョウ” 二題

<ギンイチモンジセセリ>

<コチャバネセセリ>

★ 今日の ”おまけ”

      * ホンドタヌキ 三題




※ 最近、私が今日歩いたコースの一角で、クマが出現したという話が流れたが、俄かには信じ難い話である。これまで、私は渡良瀬で、イノシシ、シカ、キツネ、タヌキ、イタチ、ノウサギは見てきたが、クマは見ていない。
どう考えても、この場所がクマが出る環境とは思えないからである。
昨今、ニュースでクマの出没情報が頻繁に取り上げられているが、どこぞの頭がクマでいっぱいになっている輩がイノシシを見て、それをクマだと思い込んでしまったのではないかと思っている。
実際、渡良瀬にクマが出現したとなれば、それは恐ろしいことである。