TRAIL (NO.74.25) ― 2025年06月02日

* サンコウチョウ 三態



三つの光とは、”月、日、星”の三光である。この三つの漢字を続けて連呼すると、”ツキ・ヒ・ホシ”ということになる。これがサンコウチョウの名の由来である。サンコウチョウのさえずりは、聞く人によっては”ツキ・ヒ・ホシ、ホイホイホイ...”と聞こえるというのである。私もこの時季山あいを歩いていると、サンコウチョウの声をよく聞くが、言われてみれば確かにバリエーションはあるものの時々”ツキ・ヒ・ホシ、ホイホイホイ...”と聞こえることがある。
しかし、この声を聞いて、”月、日、星”を連想し、更には”三光鳥”なる名前をつけた人物の感性は凄いと言わざるを得ない。
いったい、どこのどなた様がこの名前を付けたのだろうか.....
一般に植物名や鳥の名前、特に植物名には駄作と呼ぶにふさわしい酷い名前もあるが、私はこの”三光鳥”の名前は数ある生き物の名前の中でも最高傑作の一つだと思っている。その最高傑作の名前の付いたサンコウチョウに今日も出会うことができたのである。いつもは、声を聞くだけで終わりになってしまうのだが、今日は運よく私の前に姿を現してくれた。有難いことである。










TRAIL (NO.74.26) ― 2025年06月05日

* アオバズク 三態



かつては、この季節になると、夜、自宅で よくこの鳥の鳴き声を聞いたものであるが、最近はほとんど聞くことはなくなっていた。近所の屋敷内から大木が
なくなってしまったからだ。本種はフクロウの仲間なので、営巣場所としてはどうしても大木の洞が必要になる。しかし、樹洞のある大木は、そうあるものではない。現在、そのような大木がある場所といえば、神社仏閣などに限定された一部の場所だけである。今回、運よく撮影できた場所も と或るお寺さんの大木の近くである。おそらく、大木の一角で営巣しているものと思われるが巣穴はまだ確認出来ていない。できれば、繁殖が成功して、巣穴から出てきた雛鳥が並んで近くの枝に止まっている微笑ましい姿を撮影したいものである。
無事、繁殖が成功することを祈るばかりである。
確か、昨年だったか、久しく途切れていた”ホッホー、ホッホー.....”の懐かしい声を久しぶりに自宅で聞くことができたが、今年はまだ聞いていない。
あの声が聞こえてくると、”ああ、今年も渡ってきてくれたんだなあ...”と感慨深い気持ちになるが、さて、今年の青葉の季節にはアオバズクの声を聞くことができるだろうか......
そういえば、今年は、これまた久しく絶えていたカッコウの懐かしい声を自宅で聞くことができた。私は、朝型の人間なので朝が早い。その日は、まず、ホトトギスの声がまだ暗いうちから聞こえ出し、それからしばらくして明るくなってきた頃に、今度は”カッコー、カッコー、カッコー....”が始まったのである。懐かしさのあまり、思わず聞き耳を立ててしまったが、やはり、カッコウの声はいつ聞いてもいいものである。かつては、渡良瀬で、この時季になると必ず、一度や二度はこの声を聞いたものであるが、葦原の減少イコール托卵相手のオオヨシキリの減少で、それ以来 渡良瀬でカッコウの鳴き声を聞くことはほとんどなくなってしまったのである。そんな折の先日のカッコウの声だったので、嬉しさと懐かしさもひとしおであった。























TRAIL (NO.74.27) ― 2025年06月08日

* サンコウチョウ(♂)の三タイプ 四題




今回本種と出会った場所は前回サンコウチョウを撮った場所とは全く別の所で、私としては まさか ここで サンコウチョウに..... と思わせるような場所であった。
実際、この場所は人っ子一人いない山間部だったのでサンコウチョウよりむしろクマとの遭遇の方を心配していたほどである。
この日、実際に出会ったサンコウチョウは①と②で、③は参考のために前回撮影したものを載せたものである。
この時季、山あいを歩いていると、サンコウチョウに出会う機会は結構多いのであるが、オスとメスを見分けるのがなかなか難しい。
例えば、①のタイプなどはちょっと見にはメスと思いがちであるが、よくよく見てみると、どうもオスの一つのタイプで”茶短雄”とよばれているタイプのオスらしくも見えるのである。(メスの可能性も十分にある。)
②や③の”長雄”タイプの個体なら何も問題なく判断できるのであるが、特に①タイプの個体に出会った時のオス、メスの判断はなかなか難しい。
一説には、メスに擬態しているオスの個体がいるのではないかというぶっ飛んだ見解もあるようだが本当のところはわからない。






本種はイトトンボの仲間で、私は毎年この時季になると、このトンボとの出会いを求めて、と或る場所に出かける。
毎年、この時季になると、”今年も姿を見せてくれるだろうか......”と、期待と一抹の不安とで複雑な気持ちになる。
そして、現地で最初の一頭を見つけた時の安堵感と嬉しさは格別なものである。
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TRAIL (NO.74.28) ― 2025年06月10日

* アマサギ 三題



私が子供の頃、田んぼで田おこしするのに牛や馬を利用していたのを覚えているが、現在のトラクターやコンバインが動き回っている水田の様子を見ると隔世の感がある。


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今は、まだハスが目立たないので、ヨシゴイを観察するには絶好のタイミングであった。今日は、合計で10羽弱の個体を確認できただろうか。これから、営巣、子育てとステージが進んでいくが楽しみである。





















毎夕、今日は二つ、今日は三つ咲いたと確かめるのが楽しみで、ついつい花の数を数えてしまう。暗くなると、蕾が見ている前でみるみる開いてくるから不思議だ。
暗闇の中に浮き上がる 汚れのない真っ白な花が、見る者を魅了する。
TRAIL (NO.74.29) ― 2025年06月13日

* アオバズク 二態


※ 雌が近くの樹洞で抱卵中なのであろう。雄は相変わらず、近くの枝に止まり周囲を見張っている。もし、樹洞に近付く者があれば、雄雌共に攻撃を仕掛けてくるという。雛が孵化するのは約25日くらいと云われているが、無事孵ってもらいたいものである。









この花が、咲き出すと辺り一面に、まるで石鹸を水に溶かした時のような爽やかな香りが漂ってくる。
花も香りも果実も、そして名前までも魅力的な植物である。


※ このトンボの姿を見つけると、何だか急に夏が近づいてきたよう感じがする。この周辺に生息しているトンボの中でも、体色が最も赤いトンボといってもいいだろう。





※ 前回紹介したのは”モノサシトンボ”であるが、今回は”モノサシトンボ”より更に貴重な”オオモノサシトンボ”である。
この場所を訪れたのは、今季はこれで二度目であるが、前回は一頭も観察できなかったが、今回は辛うじて一頭だけ確認できた。
例年、こんなことはないのであるが、今回はどうしてもこれ以外の個体を見つけ出すことができなかった。
後で、もう一度訪れてみようと思うが、それでも観察できなければ、何か異変が起きている可能性もある。
ここは、本種が生息している、県内でもほとんど唯一の場所なので是非保全に力を入れてほしいものである。





※ 大規模改修工事により、ほとんど壊滅状態に陥ってしまった”ゼフ”の生息地を再び訪れてみた。
予想はしていたものの、残された一部の環境の中で、辛うじて本種を二頭だけ確認することができたはよかったが、それ以外のミドリシジミ、アカシジミ、ミズイロオナガシジミ、ウラキンシジミ、ウラミスジシジミなどのゼフ類は一つも確認できなかった。おそらく、今後この劣悪な環境下ではこれらのシジミ類を観察することはできなくなってしまうだろう。全く残念なことである。
改修後誕生した新たなエリアに水芭蕉やらショウブやらの水生植物を植え込む作業をしていたが、何十年も続いてきたであろう貴重な土着の生き物を犠牲にして、一般受け狙いの元々そこには生育もしていなかったような植物を持ち込み植え込んで、一体何の価値があるというのだろうか!!.....
全く、あっちもこっちも腹の立つことばかりである。
TRAIL (NO.74.30) ― 2025年06月15日

* セッカ(幼鳥) 三態



そして、雛たちは早いものから順にどんどん巣立っていく。
上に載せたセッカも例外ではない。




渡良瀬では、今季はまだハグロトンボは確認していない。
ハグロトンボに比べるとアオハダトンボの方が数は遥かに少ない。






TRAIL (NO.74.31) ― 2025年06月20日

* アオバズク 一題

巣にこれ以上近づいたら、人間であろうが何であろうが容赦はしないぞ、と威嚇しているように思えた。
まだ、依然として雌の抱卵が続いている様子だが、早く雛の顔を見てみたいものである。



しばらくして、巣の周辺から親のさえずりが聞こえて来た。
親が抱卵のために戻って来たようだった。しかし、親鳥はすぐには巣に入らなかった。おそらく、近くにいる私に最大限警戒していたのであろう.....
親は、私を遠巻きにしながら、徐々に徐々に巣の方に向かっている様子だった。そして、いよいよ巣に近づくと、さっと巣の中に収まった。
今後観察はできるだけ手控えようと思うが、何とか無事に巣立ちの日を迎えてほしいものである。



軽く丈夫なので、昔から杖に利用されて来た。
私も、一本持っているが、軽くて実に使い勝手がいい。




















TRAIL (NO.74.32) ― 2025年06月23日

* ゴイサギ 二題


ゴイサギはもともと夜行性のサギなので、夜間に川や池などに出向いて魚やザリガニなどを漁る習性がある。このため、かつては夜間に外出すると飛びながら発するゴエーゴエーという、あのゴイサギ独特の鳴き声が空からよく聞こえて来たものであるが、最近はその声もほとんど聞くことがなくなってしまった。原因はいろいろとあるだろうが、ゴイサギの個体数そのものが減少していることは間違いないだろう。実際、ゴイサギだけではなく、コサギやアマサギなどの小型のサギ類も近年の調査で数が減少していることがわかっている。
ゴイサギの声は決して快いものではないが、その声を聞くと何故か懐かしさを感じるとともに、昔の長閑な田園風景が思い出されてくるのである。

ちなみに、オオヨシキリの口の中は赤味を帯びているが、コヨシキリの口の中は黄色味を帯びているので、口の中の色の違いからもオオヨシキリとコヨシキリを識別することができる。



大きな株からはいくつもの花茎が伸び、葉の棘は、まさに鬼を連想させるには十分な鋭さをもっている。




ここが自然の面白いところでもあるのだが、さてさて、眠気を誘うのはどちらの色の”おネム”だろうか.......




上の二つの画像は、比較的それぞれの特徴がよく出ているので見分けやすいが、なかにはどっちとも言えない個体にも度々遭遇する。
識別は確かに難しい。しかし、その難しいところがまた自然観察の面白いところでもあるのである。













TRAIL (NO.74.33) ― 2025年06月29日

* サンコウチョウ 二態




最初の出会いの時はカメラを向けた途端に逃げられてしまったのだが、二度目の帰りの時はかなり遠方からこの個体の存在に気づくことができたので、用心深く歩を進めながら何とかシャッターを切ることができた。
もちろん、距離はかなりあり、また、環境的にも暗い場所だったので納得のいく撮影はできなかったが、何とか証拠の写真程度には残すことができた。
クロツグミは、この時季、山中でのさえずりはよく聞くが、姿を見るのはなかなか難しい鳥である。


ちなみに、本種には”オオ”と名がついているが、普通種に比べると確かに背丈は若干高いが、花冠自体は普通種の方が大きい。


できることなら、私ももう一度子供時代に戻って、そんな遊びをしてみたい郷愁に誘われるが、今となってはそれは詮無いことである。








事件が起きたのは、私がアキアカネにカメラを向けてシャッターを切った次の瞬間だった。アキアカネが朽ち木から飛び立つと同時に目にも留まらぬ速さでコオニヤンマが飛んできたのである。そして、次の瞬間にあっという間にアキアカネを捕獲してしまったのだ。それは 私にとっては あっと思う間もない まさに一瞬の出来事だった。
人間の目から見ると、トンボが飛び交っている風景は実に長閑にみえるが、トンボからしてみれば、それは やはり 食うか食われるかの厳しい弱肉強食の世界なのである。








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