TRAIL＜その日、その時＞

★　今日の ”風景画”

★　今日の”鳥さん”

　　　　　　　＊　ウソ　四題

　　　　　　＊　アカウソ　二態

　　　　　　＊　カヤクグリ　三態

　　　　　　　＊　ヤマガラ　三態

　　　　　　＊　ジョウビタキ　二態

　　　　　　　＊　ヒガラ　一題

★　本日の ”おっさん”と”鳥さん”の愉快な ”トーク”

『やっぱり、来たか........』

『今日は風も弱く穏やかな日和だから、もしかしたらと思ったけど、やっぱり　ここに来たか.....』

『風が吹けば 金山の麓に籠って、風が止み、穏やかに晴れ上がれば松田の地を　歩く.....』

『まったく、わかり易い行動パターンだよな、あの御仁は......』

『ところで、あの御仁、今日のお目当ては何だろう？......』

『ウソさんの撮影にでも来たんだろうか？.....』

『お〜い、おっさ〜ん！！......』

　　ううん？？？.....

　　おお、”モズ男”じゃないか！！.....

　　何だか元気のない声じゃが、どうかしたんかいのう？......

『おっちゃん......　おらっち、毎日毎日腹ペコで死にそうだよ......』

『朝から晩まで、一生懸命 餌を探しまわっているんだけど、この時季、思うよ　うに餌が見つからなくてさあ.....』

　　そうじゃろうのう.....

　　お前さんのこの時季の大変さは 鳥ではない人間のわしにもよく理解出来る　　　でよ.....

　　で、何かお前さんの腹の足しになるような物でもあったらあげたいところ　　なんじゃが、残念ながら今日は何も持ち合わせがなくて本当に済まんこと　　　よのう.....

　　　

　　ところで、話は換わるが、わしは或る所で 妙な噂を耳にしたのじゃが、　　　 本当じゃろうかのう？.....

『”妙な噂”？.....』

『どういこと？.....』

　　じつはのう、或る人から聞いた話なんじゃが、と或る場所を縄張りとして　　　いるお前さんの仲間の一人が、お前さんと同じように、餌が思うように　　　手に入らなくて毎日ひもじい思いをしていたんじゃと....

　　でな、そのお仲間さんはギリギリのところまで我慢して生活していたらし　　　いのじゃが、或る日 どうにも空腹に耐えきれなくなって、とうとう同族　　　の”ルリビ タキ”の♂を襲って餌にしてしまったんじゃと！！.....

『う〜ん......』

『言葉がないよ.....』

『だって、そいつの気持ち、おらっちにはよ〜くわかるもの.....』

『もしも周りに餌が豊富にあれば、そいつも小鳥さんを襲うなんてことはなか　ったと思うけど、思うように餌が手に入らずに毎日毎日ひもじい生活が続け　ば、そいつだけではなく誰だって空腹に耐えかねて残虐な行動に走ってしま　う可能性はいくらでもあるものね.....』

『おらっちだって、人ごとじゃないよ.....』

『この先思うように餌が手に入らないで、この儘ひもじい日々が続けば、お　　らっちだって、何を仕出かすかわからないよ......』

　　おいおい......

『ほら、今 下の地面を歩いているセキレイさんがいるけど、彼女にだって襲い 　かかってしまうかもしれないよ......』

『いや、もしかしたら、セキレイさんどころか、おっちゃんにだって襲いかか　っておっちゃんの体を突っつきまくってしまうかもしれないよ......』

　　おいおい、もうこれ以上物騒なことは言わんでおくれよ......

　　それにしても、この時季お前さんたちは本当に大変じゃよのう.....

　　でも、もう少しの辛抱じゃから、何とかこのひもじい時季を乗り越えて無　　　事繁殖の春を迎えてほしいもんじゃてのう......